本質不明のルール

 会社の常識が世間の非常識になっている事に気づかず、過ちを犯すという話はよく聞きます。私が入社したのは平成の初めであり、長崎にはバブルがあったのか無かったのかはよくわかりませんが、日本ではバブル崩壊した直後で、社会は、まだまだ、活気がありました。これを書くと武勇伝みたいになるのですが、サービス残業当たり前、22時定時でそのまま飲みに直行、朝は帰らずそのまま出勤、よく働き、よく遊びって感じでした。我々は20代ですから、元気なのは当たり前なのですが、当時の40代は、見かけは明らかに今の私らより老成していましたが、めちゃくちゃ元気でした。ところが50代に入った途端、ぱったり、遊びも仕事もトーンダウンし、出勤しているのに、”あの人は今?”みたいな状態になり、そのまま55歳付近で関連会社へ出向し、そこで定年退職を迎えるのが、一般的な流れでした。ひょっとしたら、当時は一旦、うちを早期退職して出向し、関連会社で2度目の退職をしていた可能性もありますが、定かではありません。こういうことを言うと怒られるかもしれませんが、人間的には魅力があっても、仕事だけに限って言えば、邪魔なので、早く消えてくれって人が多かったです。いわゆる老害を撒き散らす先輩の事です。その立場にとうとうなってしまいました。時代が変わり、社会のルールが変わり、否応無しに会社はそれに追従せざるを得ないことは、管理職の経験上、承知しているものの、その追従の仕方があまりにも過剰反応し、本質不明のルールで社員を縛ろうとしている場合は、やはり、意見したくなってしまいます。過剰反応しているのは、大抵、我々の働く現場のそばには居ない、高い地位や権威を得た幹部クラスの管理職なのですが、社会に対して果たすべき役目を確実に果たし、株式会社として投資してくれている株主さん達を失望させない経営を継続する為に、ちょっとしたルール違反で、企業としての信用を失墜する事はあってはならない事なので、念には念を入れて、一言で言えば”現場の手間の増えるルール”を、どんどん、追加していきます。問題は社長→本社幹部→支店の幹部→工場長と現場に近くなると、”狼に食べられない様、夜間外出は控える様に。”というのが社長指示だったのに、工場では”夜間外出をする場合は届けを出し、万が一、無断で外出したものは最低、6ヶ月の減給処分とする。”というルールになります。ある夜、工場の方から悲鳴が聞こえたが、無断で寮から出て減給処分になるのを恐れた、日勤の若い社員が、その事を看過した結果、夜勤の社員が機械に巻き込まれ悲惨な最後を迎えていたといった様な事が起こる可能性もあります。これは、社長の”狼に食べられない様に・・”という社員の安全を気遣った本質的な意図が省略され、伝わった結果、罰則だけがクローズアップされ、当たり前に救える命を救えなかったという話です。この教訓を知ってから、私は”社長は、なぜ、そんなルールを作ったのですか?”という事を必ず、自分の上司に聞く様にしています。ただ、上の指示に何の疑いもなく従っただけという、上司は、きっと、耳が痛いし、面倒だと思っているはずですが、この上司へのツッコミが、最近、全くないのです。理由は査定が下がるとか、上司の命令は絶対だからとか、面倒臭いやつだと思われたくないとか、色々あるでしょうが、みんなが、おかしいと思っている事まで見て見ぬふりをしている。これって何かと似ていませんか?そうです。子供の世界に起こりがちなイジメです。話は老害に戻るのですが、私らの世代になると、”あまり事を荒立てて老害と認定され、あと数年を住みにくくするのはナンセンス。若いもんに任せて、静かにしておくに限る。”という人も多いです。私も50歳なった頃、そう思っていました。あんな先輩の様に絶対にならないぞと決めていたのですが、私はおかしいと思う事は、冷静にきちんと確認しようと決めました。それは、これから主役になろうとしている世代の為であって、自分が住みやすくする為ではないので、きっと理解されると信じています。いつの間にそうなったのか?は定かではありませんし、自分が、その様にしてきた覚えもないのですが、ただ上の指示を、その意図を理解しないまま、流すだけの上司が多くなってきているのは事実です。それは配下のモチベーションを下げ、疲弊させ、結果、その組織を弱体化させます。それを少しでも、改善して定年を迎えたいと思っています。

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